新緑の頃を過ぎ、慈雨の季節がやってきました。
日に日にその濃さを増す木々の葉を見ていると、心が元気になってきますが、
同時に、昆虫も活発に動き始めました。
美しいくかわいい虫だけでなく、ちょっとやっかいな方々が部屋におわしまし、
ぎょっとしながら追い払うこと数回。
田舎育ちの私でも、都会の虫には困らされます。
そんな昆虫に夢中になった女性がいます。
16世紀後半、オランダに住む主婦兼画家のマリア・ジビーラ・メーリアンは、
植物と昆虫に魅せられ、たくさんの観察スケッチを残しました。
今年4月2日のGoogleロゴになったことで覚えていらっしゃる方もいるかもしません。
(実は誕生日が一緒なんです、嬉しい)
その緻密でカラフルな絵は、美術としての価値だけでなく科学絵としても
昆虫学に多大な貢献をしています。
当時は「虫は腐った泥の中から生まれてくる」と真剣に信じられていた時代。
芋虫が自分の好みの植物を食べ成長し、さなぎになり、実は蝶になっていた、
という過程を、地道な観察と絵で明らかにしてみせたのです。
結婚し、子育てをしながら絵の道で家計を助けたばかりでなく、離婚後、
40歳を越えてから子どもとともに南米スリナムに移住し、その地でも珍しい
植物と昆虫の絵を描きまくりました。
さらに、子育て後の52歳になってから再びスリナムに移住し、マラリアに
倒れるまでの2年間、熱心に研究と絵を続けたのでした。
イラストをまとめた本も3冊出版しています。
晩年はオランダで貧困のうちに生涯を閉じたとのことですが、彼女の革新的な
手法と業績は、現代の私たちの目をも瞠らせ続けています。
6月1日、埼玉県の女性起業家向けシェアオフィス「COCOオフィス」が
オープンしました。
自分の足元を観察し、仕事に結びつけるのは女性の得意とするところ。
クールな頭とホットな情熱、確かな技術をもって仕事にチャレンジする、
それはどんな環境下でも何歳からでも遅くはありません。
大きく美しい蝶のように、何人もの女性起業家がこの場所からふわりと飛び立つ。
そんな姿がすぐに見られる予感です。
(池田史子)
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