初めてのキャンプ体験

 先日、初めてキャンプに行きました。旅の醍醐味は、「あくせくした日常から離れて美味しいものを食べ、ゆっくりすること」と考える私にとっては、キャンプは「不便なところで自炊する面倒くさいもの」という印象をもっていました。

 訪れたのは無印良品が運営する嬬恋のキャンプ場。

 一つ一つが木で区切られた広々としたサイトは、車乗り入れ可能だったのでまずはほっとしました。しばらくくつろいだ後の夕食は、途中の道の駅で買った野菜、さっとあぶった朝採れとうもろこしとステーキでしたが、外で食べる食事がこんなにおいしいとは・・・。

 キャンプというと、小学生がいる家族連れが中心というイメージでしたが、実際は中高年の夫婦や若いグループなど年齢層が幅広く、サイトではあちこちから笑い声が聞こえ、穏やかな時間が流れていました。

 無印良品キャンプ場は、キャンプのもつ不便さの多くを解決し、快適にキャンプを楽しむための工夫で多くのユーザーを獲得しているようです。点在するサニタリー棟(トイレと炊事場)、お洒落で手入れが行き届いたレンタル品、石釜やダッチオーブンをつかった料理教室などワクワクする要素が満載でした。

 アウトドアライフを楽しむ人口は年々増加傾向にありますが、キャンプ愛好家が高齢化してもキャンプに行くかどうか(私が将来も行き続けたいか)と考えてみると、ためらう点が3つあるように思います。「夜中のトイレ(年をとるとトイレが近くなる)」「暑い中のテント等の設営と撤収」「寝心地の悪さ(これは高さのあるエアマットがあれば問題なし)」です。今のところ、設営・撤収サービスをやっているところはないようですが、両方で2時間近くかかったので、体力を温存したい人、時間を有効に使いたい人は有料でも利用したいかもしれません。

 トイレについては、「暗闇の中、わざわざトイレに行くくらいならこのまま我慢して寝てようか」「いやいや、それでは朝までよく眠れないだろう」と葛藤を繰り返し、仕方なくトイレに起きるのは私だけではないはず。

 レジャーが多様化する時代には、ワイルドさを求める人が多いアウトドア分野でさえ、幅広い年齢層が楽しめる工夫は、これからもどんどん進化するでしょう。

 多くのキャンプ愛好家が憧れる日本の高級アウトドアメーカー、スノーピークの使命は「人間回帰」だそうです。「人生に野遊びを」というスローガンに象徴される、自然の中で、使う人のことをとことん考えた製品によって人間らしさを取り戻す時間の大切さ。

 無印良品キャンプ場とスノーピークのホームページ上の動画や写真には、どこか懐かしい、それでいて誰もが心の奥にしまっている大切なものを思い出させる何かがあるような気がします。

 カタログをめくると、美しく温かみのある写真の数々が次々と五感に訴えかけてきます。製品そのものの価値はもちろんですが、その使用経験を通じた価値の訴求がうまくいけば、価格の高さはよい意味で差別化要因になるということがよくわかります。

 

(鈴木寧々)